Dig The New Bread

作品レビュー、ライブレポ、歌詞和訳等々、書きたくなったときに書くためのブログ。

個人的2020年ベストアルバムを振り返る。(前半)

 


今年は時が経つのが例年に比べてとても早く感じられ、把握しているはずの今日の日付をスケジュール帳で眺めては軽く驚いてしまっている。

今日は12月日。感覚としてはまだ10月くらいのような気がしているのに、外気の冷たさが容赦なく12月ということを思い知らせてくる。

 

今年全世界的に「当たり前」を奪い去っていった新型コロナウイルスは、僕の一年間に対する時間感覚を形作っていた様々な行事をも無いものにしてしまった。

毎年息を吸って吐くように参加していたライブやフェスは延期や中止を余儀なくされ、その息苦しさをマスクで覆って加速させる日々。

 

そんな2020年だったけれど、年末に差し掛かって今年聞いていた音楽を振り返ってみると、しっかり2020年にも365日があったんだということを実感させてくれる程にたくさんの素晴らしい作品が生み出されていたことに気付く。

 

今回は今年リリースされた中で良く聞いた作品を紹介しながら、失いかけていた時間感覚を取り戻していきたいと思う。

 

 

GEZAN - 『狂(KLUE)』

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まず真っ先に挙げるアルバムはこのアルバムの他にない。

1月29日にリリースされたこの作品は、コロナパンデミックが襲いかかってくるよりも前に東京が陥っていくであろう近い未来を驚くべき程の解像度で描き出してしまった。

僕は昨年の間、GEZANのドキュメンタリー映画を観に行ったり、全感覚祭やTHE MALLといったイベントで彼らのライブを何度か観た。そしてしきりに彼らに対して感じていたのはとにかく誠実な人たちだということだ。誠実とは、自分に対して、そして他人に対して真摯に向き合い、時には憤り、対話し、考え、愛する姿勢だと思う。

このアルバムが示すのは疲弊した東京を憂うニヒリズムではない。

その中で確かに続いていく生活と人々に捧げる祈りだ。

 

《混乱と生きた日々に幸せになる それがレヴェルだよ》(I)

 

不安や猜疑心で息苦しくなった日々の中で、それでも必死に呼吸を続けるための至誠のレヴェル・ミュージックがこの一枚に詰まっている。

 

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Mac Miller - 『Circles』 

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2020年に入って最初に聴いたアルバムはMac MillerのCirclesだった。

2018年に急逝したラッパー、Mac Millerが生前最後に取り組んでいたアルバムをFiona AppleやFrank Oceanのプロデュースも手掛けるJon Brionが作り上げたアルバムだ。

僕はあいにく英詞を聴いてスッと意味を捉えられる程の耳を持っていない。加えて彼の作品を聴くのは今作が初めてだった。

しかしこの作品に収められた曲、そして歌声はあまりにもパーソナルな響きを持ち、意味を超えて身体に染み渡ってくる。その柔和で温かな響きは彼の不在をかえって強く思わせ、悲しい気持ちにならずにはいられない。

ビートと呼ぶにはあまりにもインディーでアコースティックで、ラップというよりは悲哀を帯びた優しい歌声を宿したこのアルバムを聴きながら寒空の下をよく歩いた今年の幕開けだった。R.I.P. Mac Miller、どうか安らかに。

 

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Mura Masa - 『R.Y.C.』

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英国領ガーンジー島出身のアレックス・クロッサンによるソロ・プロジェクト「Mura Masa」。妖刀の名を冠する若きプロデューサーが若干21歳で生み出した1st『Mura Masa』に続いて2作目となる今作は前作の清新でポップの裾野を広げていくような作風とは打って変わり、彼自身のルーツにあるバンド、ギターサウンドに回帰したような作風だ。

R.Y.C. = Raw Youth Corrage(生々しい青春のコラージュ)というタイトルに相応しく、80年代のニューウェーブ/ポストパンクを思わせるサウンドの楽曲が多い。

それはまるでJoy DivisionNew Orderへと移り変わっていった流れを遡行しているかのようだ。

このようなノスタルジア、回帰性はMachine Gun Kelly『Tickets To My Downfall』やBeabadoobee『Fake It Flowers』といった作品にも通ずる現代の時代精神なのかもしれない。

もちろん彼の生み出す楽曲は回帰的なサウンドに留まることなく、1stで示した清新さをもってして2020年のサウンドにモダナイズしている。

例えばTeenage Headache Dreamsでは、Joy DIvision/New OrderのPeter Hookのベースプレイを彷彿とさせるイントロから後半に向かうにつれ、Mura Masaらしいダンスチューンへと変わっていく。

 

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今年フジロックで今作で共作したClairoやGeorgiaらと共に来日する予定だったMura Masa。延期となったことはとても残念だったが、来年ライブを観られることを楽しみにしたい。

 

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Hayley Williams -『Petals for Armor』

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僕の洋楽の入り口は紛れもなくポップパンク/エモだ。

FALL OUT BOYを聴いてディグの地平が洋楽まで広がり、「ポップパンク」「エモ」という単語を最初の手がかりに聴き漁った。そこにはNew Found Gloryがいて、Blink-182がいて、ALL TIME LOWがいて…そしてその中にはParamoreがいた。

そう、Paramoreとは紅一点のHayley Williamsがフロントマンを務めるバンドだ。

天真爛漫で力強いパフォーマンスで人気を誇る、ポップパンクのスーパーヒロインと言い切って差し支えないだろう彼女がソロ名義にて今年発表した1stアルバムがこの「Petals For Armor」だ。

最初に先行曲「Simmer」を聴いた時、驚くとともに納得をしたことを覚えている。

Paramoreを取り巻く確執、オリジナルメンバーの脱退を経て2017年にリリースされたParamoreの現時点の最新作『After Laughter』では、ポップパンク/エモから脱却して音楽性の拡張(主に80s的なニューウェーブ/ディスコを取り込んでいった)を目指したことが強く感じ取られるが、当時は戸惑いを覚えたのが正直なところだった。

それがこの『Petals For Armor』で一つの結実を迎えているといってもいい。(ソロ名義だが、現在のParamoreのメンバーが全員制作に参加していることも特筆しておく。)

ミニマルなエレクトロニカから、Billie Eilishにも通ずるようなダークでグルーミーサウンドをも我が物にしている様からは、衒いなく真っ向からメインストリームに挑んでいるのを感じられて気持ちが良い。

何よりも過去作から相対的に音数が減ったことによって、ヘイリーのシンガーとしての強さが全面に押し出されていてそれがまたたまらなく良い。

過去を回顧するのも悪くはないが、今のヘイリーの音楽を聴けばこれからの活動が楽しみになること間違いなしだと思う。

 

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Machine Gun Kelly - Tickets To My Downfall

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僕がポップパンクを聴きだした頃には既に"pop punk is not dead"というスローガンの下に往年のポップパンクの雄、New Found Gloryが新作をリリースしていた。

つまり、一度このジャンルは"死んだ"。

それから約10年近く経って今年、ビルボードチャートのトップに上り詰めるポップパンクアルバムが現れる。

それがこのMachine Gun Kellyによる『Tickets To My Downfall』だ。

ロックアルバムとしては1年1ヶ月ぶりにチャートのトップに躍り出たMachine Gun Kellyはラッパーとしてその名を馳せているが、今作は自らのルーツに立ち返った生粋のポップパンクアルバムだと言えるし、そのクオリティは決して付け焼き刃な物ではない。

この作品において重要な立役者はプロデューサー及びドラマーとして作品に参加しているBlink-182のドラマー、Travis Barkerだ。持ち前の強靭でキレの良いドラミングはポップパンクアルバムとしての強度を上げているし、「Bloody Valentine」ではフィルインフランジャーをかけるといった、思わずBlink-182の「Feeling This」といった名曲を思い出してしまう嬉しいアレンジングが随所に散りばめられている。

 

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「Forget Me Too」では今年自身でもアルバム『Manic』をリリースし、今を輝くBTSとも「Boy With Luv」で共演しているHalseyがボーカルに参加し、MGKに劣らないボーカルワークと力強さで華を添える。

 

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Mura Masaは『R.Y.C.』リリース時にインタビューで”ポップミュージックでまたギターサウンドが盛大にカムバックする気配を感じている"と答えていたが、このアルバムこそが彼の感じていた”気配”の正体だったのかもしれない。

 

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Fontaines D.C. - 『A Hero's Death』

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昨年リリースしたデビューアルバム『DOGREL』はその鮮烈ぶりをもって世界を駆け巡り、イギリス/アイルランドで毎年最も優れた賞を決めるマーキュリープライズにノミネートされ、各国メディアもその確かな内容を高く評価した。

『DOGREL』で描き出した野心と、世界から注がれる期待を背負ってツアーに繰り出し、ヨーロッパ各国やアメリカを廻った彼らは一変した生活に擦り切れ、疲弊していった。

 

今年8月にリリースされた『A Hero's Death』は、そんな彼らの生活を反映したかのように内省的で、ダウナーな響きを帯びている。

しかしそれは、『DOGREL』が彼らの生活するダブリンの有り様と、その街と鬱屈とした日々からの脱出とを詩的な想像力をもって描き出していたのに対し、彼らが置かれた目まぐるしい生活や1stアルバムによって向けられた熱視線、そして未曾有のコロナパンデミックから抜け出すために内的世界に想像力を膨らませているような響きで、そこからはかえって強い”外部への脱出”の力学を感じる。

 

1曲目のI Don't Belongから「何にも属さない」と何度も何度も唱えるように歌い上げるVo. Grian Chattenの声は朴訥で、それゆえに衒いなく聴き手のど真ん中に刺さってくる。

 

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アルバムの最後から2番目の曲「Sunny」 ではまるでThe Beach Boysの『Smiley Smile』のような、どこか不穏で密室的なのに甘美で、白昼夢のような世界が立ち現れる。

 

"Happy's living in a closed eye

That's where I like to be"

 

内的世界への逃避行の末に「目を閉じた先にある喜びの在処が好きな場所なんだ」という結論に辿り着いた彼らの音楽は何よりも解放的で、聴き手の意識をも現実と離れた思索的な場所へと誘ってくれる。

 

今年は新型コロナの世界的流行により、フジロックを含むツアーの延期を余儀なくされた彼ら。コロナが明けた先に、彼らの堂々の初来日が待っていることを願わんばかりだ。

 

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(後半へ続く)

久しぶりに生きている心地がした -20.07.22 踊ってばかりの国「潜伏」@恵比寿LIQUIDROOM-

 

こんにちは、20KAです。

前回の記事を「ライブに行きたい」というタイトルで書きましたが、本当に幸せなことにライブに行けました。願えば叶うね?こんなに早くとは思ってなかったけれど。

 

踊ってばかりの国が最新アルバム『私は月には行かないだろう』を発売し、今年2月からリリースツアーを行なっていたものの、間もなくコロナパンデミックに突入し延期となっていた東京公演が7/22に日を改めて開催されました。

基本的には有料配信という形式でしたが、感染対策を徹底した形で100名限定で観覧チケットが発売されました。

 

踊ってばかりの国がリキッドで100人限定…まあ当たらんだろう…と思いながら申し込んでいたところなんと当選。エルレナンバガ、グリーンデイと、チケット選考となると敗北を喫し続けている運の無さなので、鳩に豆鉄砲を食らったような感覚でした。

 

 

君島大空、長谷川白紙のライブを拝みに行った「Song For Future Generation」以来のライブ。まさか半年もライブに行けなくなることになるとは当時全く予想だにしていませんでした。

今となっては未だにコロナウイルスが猛威を振るい、国がロクな施策を打ち出さず、殆ど自己責任での行動が要求される中でライブを観られたことは幸せなことに思います。

ひとえにバンドとその関係者及びライブハウスのスタッフの皆さんの徹底した対策意識のおかげです。

そんな状況なので、一観客としての自分もとにかく出来る限りの対策を取ってライブに行きました。

 

 

普段は900人程度収容することの出来る恵比寿リキッドルームには、等間隔に椅子が並べられ、自分たちは着席と歓声・大声禁止が徹底されました。

入場時には検温とアルコール消毒、退場時は規制退場と、会場までの導線も感染対策が徹底されていました。

 

そして始まる踊ってばかりの国のライブ。

メンバーがステージに出てきてアンプとギターのボリュームを上げてフィードバックノイズが鳴り出した瞬間に涙腺がぐわっと熱くなってしまって正直自分でもビックリしてしまいました。生で音楽を浴びることにこれ程までに飢えていたとは…。

ここ数ヶ月の間ありとあらゆるライブ・イベントが延期・中止となり、色々な配信ライブを有り難く観ながらも、しばらく現場に行くことは出来ないだろうと諦観してしまっていたので感覚が死にかけていましたが、ノイズが乾ききった身体に染み込んでいくようで自然と涙が出ました。

 

着席した状態で声も殆ど出せない状況だったので、会場にはシンとした少し重い空気が流れていましたが、踊ってばかりの国の優しく包み込むようなライブはそんな空気を揉み解してくれました。

毎日のようにライブをしていた日常がコロナによって奪われてしまったことで昼飯を食べなくなって体重と魂が減ったと話す下津さん。

そんな飢餓心から解き放たれたライブは活き活きと力強くて、座りながら心踊るような気持ちにさせてくれました。

 

「クロール」の"泳ぎ続けてよかったよ 喜び、悲しみ クロールは続いてく"というフレーズが、まだまだコロナ禍真っ只中にいながらもその中で喜びを見出すことを肯定してくれたようで、この状況下に聴くことができて本当に良かったと思ってます。

 

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今はクロールを泳ぐのもままならないかもしれないけど、”日常”を有りのまま謳歌できる日まで水掻きででも向かっていけたらいいな。

 

 

 それではこのへんで。

ライブにいきたい

こんにちは、はじめまして20KAと申します。

 

このブログを立ち上げた時は、色々音楽について書くぞ!と意気込んでいましたが、わずか4記事のみを書いて放置しておりました。三日坊主も甚だしいです。

 

挙げ句の果てに自己紹介もせずに急に和訳記事等を投稿する支離滅裂ぶりだったようです。(他人事)

 

でも皆さんもありますよね、一度放り投げた物に改めて着手すること。

例えばランニング、例えば料理。そういや昔天声人語の書写なんてことをやっていたな。今思うと良くやってたな。

 

そういった感じで、僕もまた好きな物について書き連ねたいという気持ちが顔をもたげてきたのでこうしてブログを書いております。こういってしまうとフラグが立ってしまいそうですが、これからは頻度を上げて更新していきたいと思っていますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

とりあえず近々の目標としては、突拍子もなく和訳をし始めていたFONTAINES D.C.『DOGREL』の曲を、彼らの2ndアルバム『A Hero's Death』がリリースされる前に全曲和訳します。言い切ってしまった。

 

FONTAINES D.C.の『DOGREL』は昨年リリースされたアルバムの中で随一のレベルで好きな作品でした。

アイルランドのダブリン出身の彼らが放つのは憂いを帯びつつも確実にオーディエンスを起爆する鋭角なポスト・パンク/ガレージ・ロック

 

OasisArctic Monkeysに通ずるロックンロールのダイナミズムを感じさせつつも、内省的な落ち着きも見せる『DOGREL』はまるで涼しげな見た目に高熱を宿す蒼炎の様なアルバムです。これが1stアルバムだって言うんだからもう凄いんですよ。本当に。

 

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ダブリンには他にもGIRL BANDやTHE MURDER CAPITALといった昨今のポスト・パンクシーンを盛り上げるバンドがいますが、FONTAINES D.C.もまた昨今のポスト・パンクシーンを代表するバンドといってまず間違いないでしょう。

 

本当だったら今年のフジロックにて念願の初来日を果たす予定で、僕も念願のフジロックデビューを果たす予定だったのですが、新型コロナウイルスの影響で来日が延期されることに…。

来年のフジロックで待望の2ndアルバム『A Hero's Death』の曲を引っ提げて、コロナ禍に溜まり溜まった鬱屈とした感情を全て吹っ飛ばしてくれるようなパフォーマンスを見られることを期待しています。

 

上記のフジロックに限らず、コロナの影響であらゆるライブ・イベントが中止・延期を余儀なくされている今、僕はどこか気が入らない日々を過ごしています。

 

緊急事態宣言が解除され、会社も通常勤務に戻り、街にもコロナ以前と大差ない程に人が戻ってきていますが、僕の日常にはやっぱりライブが不可欠であることを痛感させられる日々です。

 

昨年は約40本ものライブに足を運んでいたのに、今年はほとんどゼロですからね…。

一刻も早くコロナ禍が終息し、毎晩沢山のライブハウスでライブが繰り広げられるような日々が戻ってくることを切に願っています。

 

 

それではとりあえず今日はこんなところで。

 

 

 

FONTAINES D.C. - Sha Sha Sha 和訳

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You're so real, I'm a show reel(*1)

You work for money and the rest, you steal

I feel like an old tattoo

I feel like I'm falling for you

 

君は本物で僕はショーリールさ

君は金のために働いたと思いきや盗みを働く

僕は古いタトゥーみたいな気分さ

君のせいで堕ちていくみたいだよ

 

Sha sha sha, sha sha sha

Sha sha sha(*2)

 

どうにかしてくれ、もうどうにかしてくれよ

 

A cabbie pisses in the wheel of his own car

Heads hit the streets, turn cheeks at stars

There's always tears

There's always gonna be tears

There's always gonna be

 

タクシー運転手が自分の車のタイヤに腹を立てる

通りに頭を打ちつけて頰を星空に向ける

いつも泣いてるんだよ

いつも泣きそうなんだ

いつも…

 

 

Sha sha sha, sha sha sha

Sha sha sha, sha sha sha

 

どうにかしてくれ、どうにかしてくれよ

 

Under the lamplight's faded career

Two men at a rickshaw pumping up a tyre

Tire and tire and tire and tire

Tire and tire and tire and tire

And now the cabbie waits at invisible gates

Shoulder to the curb

Manic and wretching like a drunken perv

Now here comes the sun

That's another one done

That's another one

 

ランプの光に照らされてくすぶってる

二人の男が人力車でタイヤを組み上げている

タイヤ、タイヤ、タイヤ、タイヤ

タイヤ、タイヤ、タイヤ、タイヤ

それでタクシー運転手は見えない門で待ち続けてるんだ

縁石に肩を寄せてさ

躁病と酔っ払いみたいな吐き気

ほら太陽が昇ってきたよ

そこにもう一つ

もう一つのさ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(*1) show reel・・・ショーリール。俳優や監督が自己PRのために制作するビデオ作品集

 

(*2) Sha Sha Sha・・・あまりにも信じられないような最悪な状況から抜け出そうと唱える言葉。ここではどうにかしてくれ・・・と嘆いているように意訳。

www.urbandictionary.com

 

FONTAINES D.C. - Big 和訳

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Dublin in the rain is mine

A pregnant city with a catholic mind

Starch those sheets for the birdhouse jail

All mescalined when the past is stale - pale

 

ダブリンの雨は俺のものさ

カトリックの精神が充満した都市

それは鳥籠みたいな牢獄のように堅苦しくて

すっかり毒されて古臭くぼんやりしてるのさ

  

Dublin in the rain is mine

A pregnant city with a catholic mind

Slick little boy with a mind of Ritz

Pulling that thread for the next big fix: this

 

ダブリンの雨は俺のものさ

カトリックの精神が充満した都市

何不自由ない口先だけの少年が

次の洗礼への一途を辿りながらこう言うのさ

 

"My childhood was small, but I'm gonna big"

 

「俺は子どもの頃小さかったけどこれから大きくなるのさ」ってね

 

Dublin in the rain is mine

A pregnant city with a catholic mind

Starch those sheets for the birdhouse jail all mescalined when the past is stale - pale

 

ダブリンの雨は俺のものだ

カトリックの精神が充満した都市

それは鳥籠みたいな牢獄のように堅苦しくて

すっかり毒されて古臭くぼんやりしてるのさ

 

Dublin in the rain is mine

A loose ambassador for all that crime

Slick little boy with a mind of Ritz

Pulling that thread for the next big fix This

 

ダブリンの雨は俺のものさ

あらゆる犯罪に肩入れする締まりのない大使

何不自由ない口先だけの少年が

次の洗礼への一途を辿りながらこう言うのさ

 

"My childhood was small, but I'm gonna be big." 

 

「俺は子どもの頃小さかったけどこれから大きくなるのさ」ってね

 

NOT WONK 「Down The Valley」

良すぎる。NOT WONKが6/5にリリースした3枚目のフルアルバム「Down The Valley」が良すぎる…。

 

皆さんNOT WONKはご存知ですか。北海道苫小牧市を拠点に活動するパンク/インディー・ロックスリーピースバンドNOT WONKです。

 

僕がNOT WONKを知ったのは僕が好きでよくライブに行くバンド、Age Factoryとの対バン企画に際して行われたボーカル同士のインタビュー記事。

 

mikiki.tokyo.jp

 

Age Factoryの好きなところは音楽自体もそうだけれど、自分たちが鳴らしている音楽こそがかっこいいと信念を持った、記事から拝借すると筋の通ったスタンス。だからこそ出音に説得力があるし、堂々としたライブパフォーマンスは何度も足を運んで観に行きたくなる。

 

www.youtube.com

Age Factoryの「See you in my dream」。抑えきれない感情を爆発させたような、飛び切りのギターロックです。なんでも電車男をモチーフにしたとか。

 

そんなAge FactoryのVo.清水エイスケが同じく”筋の通ったバンド”として紹介していたのがNOT WONK。

 

これは聴いてみるしかない!と思って聴いたのがこの曲、「Laughing Nerds And A Wallflowers」。彼らの1st Albumの表題曲です。

 

youtu.be

 

か、かっこいい…!

学生時代はパンクやポップパンクに没頭し、コピバンで演奏したりする一方で、OasisArctic Monkeysを筆頭にUKロック、インディーロックも好んで聴く自分としてはどストライクな一曲。The Get Up Kidsなどに通ずるエモも感じます。

 

そこからNOT WONKの曲々を聴き漁り、彼らのライブを観に行こうと初めて足を運んだのがGRMLNのJapan Tour@下北沢BASEMENTBAR。

 

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出演バンドはGRMLN、前回記事で推したNo Buses、そしてNOT WONK。

 

なんでも初めて観る彼らのライブだったので、先程載せたLaughing~を聴けたらいいな、というテンションで身構えていました。

 

いざライブが始まると、しっとりした登場から流れるように今作の表題曲「Down The Valley」。そしてそれ以降も今作に収録される曲の数々を披露。

 

youtu.be

 

それがかっこいいのなんの…。

 

学生の間はメロコアのライブに行ってはダイブをしたりするような僕でしたが、最近は例えばPALE WAVESBLACK REBEL MOTORCYCLE CLUBの来日ライブに行ってはじっくりライブを聴くことが多くなっていて、とはいうものの心のどこかでは爆発を求めている自分がいるんですね。これはもう性というべきものでしょうね。

 

披露された新曲たちは過去作のポップパンク、インディーロックな路線とは異なって全体的にソウルのエッセンスを落とし込んだ、しっとりした印象。

 

だけれども彼らの曲々はどこかでディストーションを効かせて一気に盛り上がるところがあるんですよ。繊細なプレイングで抑えて抑えて一気に盛り上がるその緩急具合に思わず痺れてしまいまして。

 

よく音楽性が変わると、”あのバンドは変わった!”だとか、”昔の方が良かった!”だなんて言われるじゃないですか。でもよく考えたら変わらない方がおかしな話なんですよね。

 

かくいう僕も好きなアーティストの音楽性が変わっていくことに抵抗を覚える内の一人でした。

ポップパンクバンドが徐々にポップに変貌していくことにどこか寂しさを覚えて1st、2ndの頃が良かったとか言ってしまうような…。

 

でもそれってただジャンルとしての”パンク”に固執しちゃってるだけなんですよね。

今月のレコード・コレクターズJoy Division/New Order特集に書いてあった「パンク・ロックは保守的な音楽である。彼らは音響的な新しい空間を創造するためにテクノロジーを利用としないんだ」という一文がなんだかすごく響いてしまって。

 

そもそもジャンルに囚われて音楽を聴いてしまうことがなんてナンセンスなことなんだろうと思うようになってから前はこうだったから…って考えをしないようになりました。

 

だからむしろ貪欲に新しいサウンドを追求していく姿勢の方がよっぽどパンクだなって僕は思ってます。どの立場から口弁を垂れてるんだって感じですよねすいません。

 

ライブでは前述したLaughing~も披露されたのですが、現在の彼らの音楽があまりに良すぎてどこか物足りなさを感じてしまう程でした。もちろんとても良い意味でです。常に最新の曲がかっこいいって最高すぎやしませんか。

 

7月には今作のリリースツアーがあるのでそちらにも足を運んでみたいと思います。

 

それでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

No Buses「With or Without It」

No Buses - With or Without It (Official Video) - YouTube

 

https://music.apple.com/jp/album/with-or-without-it/1465885090?i=1465885096&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

 

記念すべき1回目の紹介は最近僕がお熱なバンドの一つ、No Busesです。

 

No Busesを知ったのは4月7日に渋谷で開催されたサーキット、「SYNCHRONICITY'19」。

その次の出番のバンドを観る予定だったのもあり、なんとなく彼らのライブを聴いていたらグッと来てしまってそれから今に至るまでもう3回もライブに足を運んでしまった。笑

 

No Busesってバンド名はArctic Monkeysの初期曲から来ているらしいんですが、まさにアクモンの1st、2ndの頃を彷彿とさせるようなダークなインディーロック、一度聴いたら耳に残るようなリフに思わず惹かれてしまいました。ボーカルが作り出す雰囲気も最高です。

 

この前の土曜日に下北であったサーキット、SOUND CRUISINGではリハでアクモンの名曲、「Brianstorm」を突如演奏し始めて僕も思わずボルテージが上がっちゃいました。

 

そんなNo Busesが最近MVを公開しシングルリリースした曲、「With or Without It」を和訳してみました。

 

[歌詞和訳]

僕はまだ独り苦悶しては部屋の中を歩き回っている

夜が明けて朝が来てもいつもそれが僕を締め付けるんだ

真実ってなんだ?何が正しくて何が間違っているんだ?

 

どうか子供のままの僕の心を連れ去ってくれ

友達もみんないなくなってしまった

僕は多分君がいないと何も出来ないんだ

でも君の愛はどこかへいってしまったんだ

 

やってやろう、やってやるんだ

僕たちはこの世界のヒーローなんだ

解き放たれよう、こんな気持ちから解き放たれるんだ

ちょっと待って、ちょっと待ってくれ

僕にはもう少し時間が必要なんだ

 

 

こんな感じ…ですかね。

失恋して気持ちを整理しようと、彼女のことを忘れようと頭では分かっているのにかえってリフレインしているあの感じ…どうにも前向きになれないモヤっとした心情がダークなサウンドにピッタリな一曲。

 

上にリンクを貼ったので是非聴いてみてください。かっくいいです。